高尿酸血症(痛風)とは
体の細胞は毎日の新陳代謝で新しく作り変えられています。その結果、細胞の核からプリン体という物質が生成されますが、このプリン体が「尿酸」の元になります。体内で作られる以外に、レバー類、魚卵などの食物にも多く含まれています。
この「尿酸」の産生と排泄のバランスが崩れ、血液中の尿酸が多くなり過ぎてしまうのが高尿酸血症です。30代以上の男性30%程度が発症しているとされておりますが、女性はホルモンの影響で少ない傾向にあります。
他の脂質異常症と同様多くの方は無症状ですが、長期にわたって尿酸値が高い状態が続くと痛風の発症リスクが高くなります。
痛風とは
高尿酸血症が進行し、体内に尿酸塩結晶が蓄積することで引き起こされる病気です。針状の尿酸塩結晶が関節内で蓄積すると、急性の炎症反応が引き起こされ、関節が赤く腫れ上がり激しい痛みを伴います。一般的には、足の親指の付け根(母趾関節)に起こることが多く、その他には足首、足の甲、アキレス腱の付け根などに痛みが現れます。一度に一つの関節だけが痛むというのが大きな特徴です。耐え難い痛みが起こることから、「風に吹かれただけでも痛い」という意味で「痛風」の名前がつけられました。
多くは1週間前後で発作が治まりますが、痛風は再発する可能性が高いため適切な治療と予防が大切です。
高尿酸血症(痛風)の原因
高尿酸血症の発症原因は主に二つあります。
一つ目は、プリン体を多く含む食品の過剰摂取です。レバー類や魚卵類などの食物の他、ビールにはプリン体が多く含まれることがよく知られていますが、ビールに限らずアルコール自体も尿酸を増加させる作用があります。
二つ目は、腎臓からの排泄の低下です。尿酸は主に腎臓から尿中に排泄されるため、腎臓の機能が低下すると尿酸値が高くなる傾向があります。
高尿酸血症(痛風)の治療
高尿酸血症の治療の基本は食事療法です。まずはプリン体の多いアルコールや魚卵、レバーなど摂取を減らすことが重要です。また、尿の量が増えると尿酸の排泄量が増加するため、水分を多く摂ることも重要です。
それでもコントロールできない場合については、薬物療法で尿酸値を正常値に持ってくるということを行います。尿酸を身体の中で産生させないようにする薬、尿酸を身体の外に出しやすくする薬がありますが、患者様の状態に応じてお薬を選んでいきます。
また、痛風発作が起きてしまった場合には、痛み止めと重症度に応じてステロイドを使用します。痛みが解消したあとは、尿酸を下げるお薬を継続して内服する必要があります。